| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-52  (Poster presentation)

挑む!ヒメ様のなぞ-ヒメギスの縄張りとグルーミング-【A】
Why are you grooming? -the territory and grooming of Eobiana engelhardti subtropica-【A】

*森岡玲圭(清心中学校)
*Reika MORIOKA(Seishin Junior High School)

別の飼育ケースに移動させたヒメギスがグルーミングを始めたことに気が付き、興味を持った。グルーミングは体についた異物を取り除くためだけではなく、自分の匂いを塗り付ける目的もあるように見えた。そして、自分の匂いを塗り付けて、その匂いのついた場所を自分の縄張りにしているようだった。そこで、ヒメギスが縄張りを持つのかどうか、またグルーミングの目的は何かを考えてみることにした。
2022年は雌を、2024年は雄を実験対象とし、飼育ケースを4つ準備して、移動先が変わることでグルーミングの頻度が変わるかを調べた。2023年は、実施回数を増やせる実験装置を考案し、匂いへの反応を観察した。また、2024年は実際に雄同士を対面させて反応を調べた。
これらの実験から、自分の飼育ケースに帰って来た時よりも他の飼育ケースに移動した時の方が、グルーミング時間が長いことが分かった。また、同性の匂いよりも自分の匂いを好む傾向が見られた。異性の匂いに関しては、雌雄で差が出た。対面させた雄同士の反応から、雄のみが鳴くことがこの差に関係すると考えられた。そして、予想通り、グルーミングの目的は体に付着した異物を除去することだけではないようだと分かった。以上の結果から、ヒメギスが縄張りを持つ可能性、その縄張りを雄は鳴き声も使って主張している可能性、そしてグルーミングが縄張り行動である可能性が示せた。


日本生態学会