| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-54 (Poster presentation)
スクミリンゴガイPomacea canaliculate(通称:ジャンボタニシ)は,水田作物に多くの被害をもたらしている淡水生巻貝である。我々の先輩は,ジャンボタニシを液肥化し肥料として利用する研究を行った。結果として,苗段階で30倍希釈液の有効性が見られたが,新たな問題として臭いが酷いということが挙げられた。よって本研究の目的は,液肥の効果を収穫段階で再検証すること,臭いを抑えて実用的な液肥を作ることとする。
【液肥の効果の再検証】水のみ,ハイポネクス(1000倍希釈),タニシ液 (30 倍希釈)の3条件でコマツナを収穫段階まで育てたところ,収穫段階においてもタニシ液に成長促進効果があることが分かった。
【液肥の消臭】昨年度に作られたタニシ液の臭いが薄まっていたことに気づき,R6年度作製のタニシ液とR5年度作製のタニシ液の臭いの比較する官能試験を行った。その結果,被験者全員が臭いが低減したと答え,30倍希釈液については無臭レベルとなった。
【成分分析】熟成後のタニシ液を分析センターに送ることによって成分分析を行ったところ,アンモニア性窒素をはじめとした複数の成分の減少が確認された。
【熟成後の液肥の成長促進効果】熟成後の液肥においても成長促進効果が維持されているかを検証したところ,R5年製のタニシ液はR6年製のタニシ液と同程度の成長促進効果が見られた。このことから,熟成後のタニシ液は液肥としての有効性があるといえる。