| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
シンポジウム S09-4 (Presentation in Symposium)
本研究では、擬似時間再構成法とエネルギーランドスケープ法を組み合わせたアプローチを細菌叢データに適用した結果を報告する。とりわけレジームシフト検出に焦点を当てた解析を行った。
本研究では、細菌性腟症の症状がみられる窒内細菌叢を対象とした。具体的には、疑似時間再構成法を適用することで、疑似的な発症経路の推定を行った。また、機械学習法を適用することで、発症群と通常群の差に大きな変化をもたらされると考えられる主要な細菌種を同定した。続けて、機械学習で選定した少数種に対して、エネルギーランドスケープ法を適用することにより、安定な状態として発症と正常の2つの状態が検出されることを見出した。なお、安定な状態から発症に至る途中の過程で、複数の細菌種の侵入が認められた。また、疑似的な時系列に沿って群集プロファイリングの変化を観察した結果、レジームシフトが観察された。
本研究は、経時的なデータの取得が難しい場合でも、レジームシフト検出手法の一つの手段として活用できる可能性を示している。今後はさらに、本研究で見出した手法の応用範囲の拡大を目指していく。