| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


自由集会 W03-2  (Workshop)

里山の資源利用の仕組みを地域社会に落とし込む【O】
Embedding Mechanisms of Natural Resource Utilization into Local Communities【O】

*白川勝信(共創資産研究所)
*Katsunobu SHIRAKAWA(Co-Creation Assets Hub)

本発表では、広島県北広島町で進められている「芸北せどやま再生事業」を取り上げ、自然資源の持続的な利用を通じた地域づくりの実践例を紹介する。本事業は、広葉樹の二次林から得られる木材利用を促進することで、森林所有者が自ら管理主体となり、経済的利益を享受する仕組みを構築していることが特徴である。この経済的動機付けによって、地域住民が主体的に森林管理に関与することで、自然資源の保全と地域経済の活性化の両立を目指している。
加えて、本事業は小学校の教育カリキュラムにも組み込まれ、次世代を担う子どもたちが森林管理の意義や地域の自然資源の価値を学ぶ機会を提供している。これにより、地域の多様な主体が自然資源の活用と保全に関与する仕組みが形成され、地域社会全体で持続可能な資源管理が進められている。
自然資源を活用した地域づくりでは、利用と保全のバランスを取ることが大前提であり、その実現には異なる分野のステークホルダーの協力が不可欠である。本発表では、芸北せどやま再生事業を通じて得られた知見を紹介し、地域実装に向けた視点や事業成果を検証する視点の課題についても触れて、議論の材料としたい。


日本生態学会