| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


自由集会 W08-1  (Workshop)

農業における二酸化炭素除去としてのバイオチャー【O】
Biochar as a Carbon Dioxide Removal Solution in Agriculture: Potential and Role in Achieving Carbon Neutrality【O】

*岸本(莫)文紅(農研機構・農環研)
*Ayaka Wenhong KISHIMOTO-MO(NARO-NIAES)

 バイオチャーは植物由来の炭素を長期安定化させる炭化物であり、古くから土壌改良や作物生産の向上に活用されてきた。近年、その難分解性により長期的な炭素貯留が可能な特性が注目され、年間0.5~2.3 GtCO2eの炭素隔離が見込まれる低コストな二酸化炭素除去(CDR)技術の一つとして期待されている。
 日本では、1970年代の経済成長に伴い燃料用木炭需要が減少したことを契機に、土壌改良など新しい用途開発の研究が進められた。1984年には土壌改良資材として政令指定され、1990年代以降は年間4万トンが生産され、その27%が農業に利用されている。
 本発表では、日本におけるバイオチャー活用の最新の知見や持続可能な農業への応用事例を紹介するとともに、バイオチャーの特性を踏まえ、森林生態系などにおける炭素隔離の可能性や生態系機能の維持・向上について議論する。


日本生態学会