| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


自由集会 W19-3  (Workshop)

MBONと必須観測項目の展開及び生物多様性指標やTNFDへの活用可能性【O】
Deployment of Essential Ocean Variables through MBON and their application to biodiversity indicators for CBD and TNFD frameworks【O】

*山北剛久(海洋研究開発機構), 仲岡雅裕(北大・厚岸臨海)
*Takehisa YAMAKITA(JAMSTEC), Masahiro NAKAOKA(Hokkaido Univ.)

 海洋生態系の持続可能な管理には、生物多様性および環境変動データの統合的かつ長期的観測が不可欠である。本発表では、MBON(海洋生物多様性観測ネットワーク)およびGOOS(グローバル海洋観測システム)による海洋の必須観測項目(EOV)について、提案されている指標を、陸域のEBVと比較しながら紹介する。陸域と比べると定期的に取得が容易に可能な変数が選定されている一方で、生態系の質の変動把握にはより高度な情報の収集も必要である可能性が考えられる。
 次に、実際にEOVの情報収集の展開について、主にモニタリングサイト1000を中心とする日本の状況と、APBONにおける東南アジア地域での関連情報収集(衛星画像の深層学習等による藻場抽出を含む)の例を交えて紹介し、地域性を含めた課題について議論したい。
  最後に、収集された情報を、どのように活用できるかについて、生物多様性条約(CBD)の目標(KMGBF)の指標や海洋の健全度(OHI)としての利用。さらに、TNFDによる自然関連リスクや財務情報評価のフレームワークへの適用可能性についても考察する。これらを含めて、現在の観測システムで直面している課題や今後必要となる技術開発や国際協力、政策連携についての議論を行いたい。


日本生態学会