| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨 ESJ72 Abstract |
自由集会 W21-1 (Workshop)
京都大学フィールド科学教育研究センターでは、2022年よりイオン環境財団の支援を受けて、「新しい里山里海の共創プロジェクト」を進めている。プロジェクトでは、里山里海の現状を知り、これからのモデルとなるような里山里海を提案し、さらに新しい里山里海を創る人たちがつながる仕組みを構築することを目指している。
里山里海の現状を知るために、環境DNAを使った里山や河川、沿岸域の調査に加え、市民参加型の土壌調査や植生調査を展開し、さらにアンケートや聞き取り調査を通じて活動団体の現状を把握してきた。また、モデルとなる里山・里海づくりに関しては、大学が管理する森林を活用して、高校生、大学生、企業、団体など多様な人々が参加する「里山おーぷんらぼ」を立ち上げ、月1回程度集まって、楽しみながら里山整備を行ったり、各団体の活動について紹介しあったり、みんなで里山に親しむ体験プログラムを開発したりするなど、実践を通じてこれからの里山のあり方を模索している。新しい里山里海を創る人たちとつながる仕組みに関しては、市民と双方向で交流するオンライン勉強会を開催したり、ショッピングモールにあるホールを活用して、高校生、大学生、団体、企業等が集まってブースを出展し、里山里海での活動を発信するイベントを企画し、普段は別々に活動している出展者同士が交流したり、里山里海には関心がなかった層が買い物に来たついでに参加して、里山里海を知る機会を作ることができた。
一連の活動を企業と連携することにより、企業の持つ多様なネットワークや施設、人材を活用することで、従来の大学研究者が行うアウトリーチ活動と比較しても、幅広い多様な人々を巻き込むことができ、また一連の活動は、生態学だけでなく様々な学問分野の研究者やいろいろなバックグラウンドを持つ市民を巻き込んだ超学際的な研究となっている。