| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


自由集会 W21-5  (Workshop)

上賀茂試験地における里山おーぷんらぼの取り組み【O】
Activities of Satoyama open lab at Kamigamo experimental station【O】

*田中拓弥(京都大学), 横部智浩(京都大学), 赤石大輔(大阪産業大学), 徳地直子(京都大学), 舘野隆之輔(京都大学)
*Takuya TANAKA(Kyoto University), Tomohiro YOKOBE(Kyoto University), Daisuke AKAISHI(Osaka Sangyo University), Naoko TOKUCHI(Kyoto University), Ryunosuke TATENO(Kyoto University)

我が国では1990年代に起きたムーブメントにより、全国各地でボランティアベースでの里山保全活動が継続してきた。活動グループの多くが現在、次世代への活動の継承、さらに今後の活動方針について悩みを抱えている。里山の継承と新しいつながりの創出は、里山保全のみならず、2020年代の自然保護の重要課題の一つである。
 京都大学フィールド科学教育研究センター(以下、京大フィールド研)が実施する「新しい里山・里海 共創プロジェクト」では、「(里山里海の)現状を知る」「モデルとなる里山・里海をつくる」「新しい里山里海を創る人たちとつながる」という3つのテーマを掲げて、イオン環境財団の支援を受け、事業を推進している。本事業の一環として、京大フィールド研の上賀茂試験地において、「里山おーぷんらぼ」(以下、「らぼ」)を毎月1回実施している。
 上賀茂試験地は1949年から現在地にある京都大学の施設であり、京都市街地の北側5kmの場所に位置する。標高109~225m,総面積47.0haのおよそ半分が、ヒノキと広葉樹を主体とする二次林である。試験地内には、外国産マツの導入と育成を試験した森林があり、その一部を里山エリアへ作り変える計画が構想されている。「らぼ」を実施し、里山エリア内に位置する森林、苗畑・建物周辺において、多様な主体が参加するイベントや作業等をおこない、新しい里山の在り方の試行、参加者の交流を進めているところである。
 本発表では、2023年4月からおこなってきた「らぼ」の取組について、その背景、実施場所、施設職員のサポートを含む運営体制、「らぼ」参加者、実施内容の概要を説明する。また、約2年の期間中に、「らぼ」でおこなわれた試みや新たなつながり、現在の課題及び今後の展望を紹介する。その上で、多様な主体が共創する里山活動で配慮が必要な点について、「らぼ」を実践した経験に基づいて、議論する。


日本生態学会