| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


自由集会 W22-4  (Workshop)

地方中規模博物館自然史コレクションの現状・活用と課題〜標本は近現代を語る〜【O】
Current Situation, Utilization and Issues of Medium-Sized Local Museum Collections- Specimens tell the story of modern times-【O】

*加藤ゆき恵(釧路市立博物館)
*Yukie KATO(Kushiro City Museum)

1.北海道内の博物館の現状
 北海道には公立・私立の多数の博物館施設があり、北海道博物館協会に加盟している博物館(美術館・科学館・動物園・水族館を除く)は98施設である(2024年6月現在)。学芸職員が30名前後在籍する大規模館は国立と道立の2館で、学芸職員が5名以上いる中規模館は9館、その他は学芸職員が0〜3名の小規模館である(学芸員数は2022年10月現在)。本発表にあたり、北海道内の学芸職員ネットワークを通して自然史コレクションの管理に関するアンケートを行い、20名から回答があった。その回答と併せて地方中規模館のコレクションの状況について、寄せられた意見や課題を紹介する。

2.釧路市立博物館の植物標本を用いた事例報告
釧路市は江戸時代から、東部の高台から釧路川河口周辺にかけて市街地が形成されていった。西部地域は明治期以降に鳥取県旧士族が移住して街が形成され始め、製紙工場の操業、鉄道の敷設、河川の氾濫と改修、港湾建設のための海岸部埋め立て、人口増加による市街地の拡大など、この100年で環境が劇的に変化した。釧路市立博物館には、年代は連続していないものの、1920年代から1990年代のものまで、釧路市西部地域で採集された植物標本が収蔵されている。また、2000年代についてはフロラ調査の結果が博物館紀要に掲載されており、標本は今後収蔵予定である。標本活用の事例として、釧路市西部の街の発展と植物標本構成種の変化を比較した結果を報告する。


日本生態学会