| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第72回全国大会 (2025年3月、札幌) 講演要旨
ESJ72 Abstract


自由集会 W24-1  (Workshop)

VISITモデルの開発について【O】
Development of VISIT model【O】

*伊藤昭彦(東京大学, 国立環境研究所, 海洋研究開発機構)
*Akihiko ITO(Univ. Tokyo, NIES, JAMSTEC)

陸域生物圏の炭素循環や温室効果ガス交換を扱うモデルは、深刻化する地球環境変動の現象解明・予測・影響評価・対策評価において重要なツールとなっている。また、複雑な生態系における生物的プロセスや、物理・化学環境との相互作用に関する知見を統合化し、理解を促進する科学的な有用性も大きい。現在、グローバルな陸域生物圏モデルは少なくとも20種類以上が開発されており、活発に研究が行われていると言えるが、解決されていない問題も多い。例えば、最も基本的なプロセスの1つと言える光合成生産に関しても、グローバルなモデル推定量は数十%の開きがあり、観測データと整合しない部分も残されている。本自由集会では、日本で開発が行われてきた陸域生物圏モデルの1つであるVISIT(Vegetation Integrative SImulator for Trace gases)について概説し、それを用いた以下の具体的な研究例を紹介する。
1.「VISITを用いたマングローブの炭素循環の推定」安立美奈子・駒塚基峻 (東邦大学)
2.「陸域生態系モデルVISIT-SIFを用いた太陽光誘起クロロフィル蛍光の全球シミュレーション」  宮内達也 (北海道大学)
陸域だけでなく海洋や人間社会要素も含む更に高分解能な生物圏モデル「デジタルバイオスフェア(学術変革A)」に向けた開発指針についても説明する。総合討論においては、まずコメンテーター(佐藤永(海洋研究開発機構)、加藤知道(北海道大学))より所感を述べていただき、その後、陸域生物圏のモデルをより高度化・精緻化するための課題について自由形式でディスカッションを行いたい。


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