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第3回 日本生態学会自然史研究振興賞/The 3rd Natural History Award
大学院時代に後輩の藤田裕子氏から、水田の珪藻の共同研究を持ちかけられたことが、私が泥(mud)にはまった契機である。その研究成果は、後に何本かの共著論文として出版された (例えばOhtsuka & Fujita 2001, Fujita & Ohtsuka 2005)。島根大学汽水域研究センターの研究員だった頃、佐藤正典氏から諫早湾の潮受堤防締切以前に採集された干潟の珪藻試料を頂き、後にその中に含まれていた珪藻の一つをNitzschia gyrosigmaとして新種記載した(Ohtsuka 2005)。また同センターでマッド・サイエンティスト(mud scientist)を自称する田中秀典氏と出会い、自らもその仲間であることを自覚した。琵琶湖博物館では珪藻研究サークル「たんさいぼうの会」を立ち上げて担当学芸員(影の会長)を務めた。当初は河川・湖沼の珪藻を調べていたが、会員の関心が湿原の珪藻に移ると私も引きずり込まれ、会員と共に泥炭地にはまりながら調査を行うことになった(例えばKihara et al. 2009, 2015)。琵琶湖博物館で水田の総合研究立ち上げにかかわり、ますます泥の世界にはまることになった。2013年から参加型調査「ハッタミミズ・ダービー」(代表:渡辺弘之氏)の事務局長を務め、滋賀、石川、福井の3県の泥深い水田にのみ生息する日本最長のミミズ、ハッタミミズの分布を明らかにした(大塚 2020)。本種の(したがって日本のミミズの)最長記録は現時点で私が保持している(96 cm)。2010年に金尾滋史氏らと共に「琵琶湖地域の水田生物研究会」を立ち上げて毎年12月に研究会を開催する中で、水田の様々な生物を研究する多くの研究仲間と出会った。その仲間たちの研究成果に基づき、2010年に刊行された『改訂版 田んぼの生きもの全種リスト』の不足をあげつらっていたところ、「そんなに言うならお前が増補改訂しろ」と言われてリストのデータを引継ぐことになり、約40人の共同研究者とともにリストを増補改訂して『田んぼの生きもの全種データベース』(桐谷・大塚編 2020)として公開した(現在6,661種掲載)。大昔に堆積した泥に含まれる珪藻も調べている。最近、東京都心で1976年に発掘されたナウマンゾウ浜町標本に付着していた泥に含まれる珪藻を調べ、林竜馬氏の花粉分析の結果と合わせて死亡現場の古環境推定を行った(高橋ら 2025)。 (記録や数字は2026年2月12日現在)