| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) H01-06  (Oral presentation)

大阪府淀川におけるバットディテクターを用いたヒナコウモリの季節消長と時空間分布
Seasonal and Spatiotemporal Patterns of the Asian particolored bat(Vespertilio sinensis) in the Yodo River, Osaka, Revealed by Bat Detector Surveys.

*松浦健斗(大阪産業大学大学院), 寺西泰一(ユニバーサル園芸社, 大阪産業大学), Ryu HEUNGJIN(Kyoto Univ.), 小山里奈(京都大学), 赤石大輔(大阪産業大学)
*Taketo MATSUURA(Osaka Sangyo Univ. Grad. Sch.), Taichi TERANISHI(Universal Engeisha Co., Ltd., Osaka Sangyo Univ.), Ryu HEUNGJIN(Kyoto Univ.), Lina KOYAMA(Kyoto Univ.), Daisuke AKAISHI(Osaka Sangyo Univ.)

 ヒナコウモリVespertilio sinensisはロシア南部〜東アジアに分布し、日本では北海道〜九州まで確認されている。環境省レッドリストでは2007年に絶滅危惧Ⅱ類からランク外となったが、35都道府県でレッドリストに記載され、そのうち大阪を含む11府県では情報不足としている。
 本研究では、大阪府内都市部でヒナコウモリの分布を詳細に調査し、季節消長と時空間分布を明らかにした。2024年5月~10月に月1回、淀川、寝屋川および天野川の河川敷で日没後にバットディテクターを用いてルートセンサスを行った結果、全てのルートで5月から9月にかけて複数回本種を確認した。そこで2025年はより詳細な分布を把握するため淀川と寝屋川で4月~10月に週1回ルートセンサスを、また月1回、深夜調査と定点調査を行った。録音ファイルからKaleidoscope Pro の zero-crossing 法を用いたクラスタ解析により、コウモリの音響パルス数を定量化(N値)した。
 結果、淀川の方が寝屋川よりN値が多かった。淀川では調査初回の4月16日に超音波が確認され、その後5月から増加し、6月27日にピーク(N=2005)を示した。7月は確認されず、8月に確認され、9月以降は確認されなかった。寝屋川では5月23日から確認され、7月10日にピーク(N=255)を示したが、8月以降は確認されなかった。
 深夜調査では淀川で5月と6月に確認されたが、7月以降は確認されなかった。寝屋川ではどの月も確認されなかった。調査中アブラコウモリPipistrellus abramusも淀川でより多く確認されており、コウモリ類は淀川河川敷を主に利用すること、寝屋川で少ない理由として、人や車など騒音や採餌場所の少なさといった環境の悪さが要因と考えられた。また、7月以降の確認数減少の理由として、冬眠に適した場所への移動と推測した。


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