| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) H01-07  (Oral presentation)

攻撃性の個体間での非対称性が集団レベルの摂食と生存に及ぼす影響
Asymmetry of aggressiveness among individuals influences group-level feeding and survival

*戸高倫太郎(千葉大・院・融), 高橋佑磨(千葉大・院・理)
*Rintaro TODAKA(Grad. Sci. Eng., Chiba Univ.), Yuma TAKAHASHI(Grad. Sci., Chiba Univ.)

攻撃行動は、同種他個体の適応度に直接的に影響を及ぼす行動である。また、集団中における攻撃性の多様性は、個体間の非対称的な関係を生み出すことを通じて、集団全体のパフォーマンスにもさまざまな影響を及ぼす可能性がある。本研究では、オスが餌資源をめぐって攻撃行動を行なうことが知られているキイロショウジョウバエを用いて、集団中の攻撃性の多様性が、摂食や寿命に関わる集団全体のパフォーマンスに与える影響を検証した。まず、本種の12系統のオス個体を用いて、異なる系統のオス2個体からなる集団を作成し、2個体間で行なわれた追いまわしの量を定量した。その結果、追い回しやすさや追い回されやすさに系統間で変異があることがわかった。次に、2系統をさまざまな頻度で混合したオス4個体からなる集団を作成して、15分間での個体の摂食量を測定したところ、一部の系統の組み合わせにおいて、各系統の個体の摂食量に正または負の頻度依存性がみられた。集団レベルの摂食量については、攻撃性に多様性のある状況で最大、あるいは最小になる場合があったことも明らかになった。さらに、集団中の攻撃行動の多様性とより高次の集団全体のパフォーマンスの関係を明らかにするために、同様の頻度条件でオス20個体の寿命を測定した。その結果、各系統の個体の寿命にも頻度依存性がみられたが、頻度依存性の方向は摂食量のものと必ずしも一致しなかった。同様に、生存率が最大化あるいは最小化する頻度条件も集団レベルの摂食量のものとは一致しなかった。本研究は、短時間で測定した瞬間的な摂食量は、集団レベルの寿命を予測するには不十分な指標ではあったものの、集団中の攻撃行動の多様性が集団レベルのパフォーマンスを非線形に変動させる具体例を提示するとともに、個体群動態にまで波及する可能性を示している。


日本生態学会