| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) H01-12  (Oral presentation)

同調行動の個体差が駆動する集団特性
Group-level characteristics driven by individual variation in conformity

*浜道凱也(千葉大・院・融), 佐藤大気(千葉大・院・理, 千葉大・国際高等), 高橋佑磨(千葉大・院・理)
*Kaiya HAMAMICHI(Grad. Sci. Eng., Chiba Univ.), Daiki X SATO(Grad. Sci., Chiba Univ., IAAR, Chiba Univ.), Yuma TAKAHASHI(Grad. Sci., Chiba Univ.)

生物は個体ごとに多様な表現型を示す。こうした個体間の表現型変異は、遺伝的要因や環境要因、確率的なゆらぎにより生じる。なかでも行動形質は、他個体という社会的環境の影響を強く受けるため、表現型多様性の形成に重要な役割を果たす。とくに集団を形成する生物では、個体間の同調によって行動が収束し、集団特性が生じると考えられている。一般に、集団特性は、構成員の平均的な特性へ収束すると想定される一方、集団内に存在する個体間の異質性は、この収束を変化させうる。例えば、集団内に同調性の低い個体が存在する場合、他個体がその行動に引き寄せられることで、集団特性が単純な平均値から逸脱する可能性がある。しかし、こうした集団特性の形成に関する研究の多くは、持続的な群れや社会を形成する種を対象としており、より普遍的に見られる非持続的な集団を形成する生物での検証はほとんど行なわれていない。そこで本研究では、非持続的で流動的な集団を形成することで知られるショウジョウバエ属昆虫を対象に、集団特性の形成機構を検証した。実験室条件下で20系統を対象に、24個体からなる単一系統集団および1:1で混合した集団の活動性を定量したところ、異なる系統間で行動の同調が生じ、表現型が均一化した。興味深いことに、収束した活動性は単純な個体平均には一致せず、社会性の高い系統を含む集団では、平均値を上回る活動性へと収束した。また、2種を混合した集団では、同調を示さない特定の種(Drosophila takahashii)が存在する集団で、活動性が種間の平均値より大きい値に収束した。D. takahashiiは他の種よりも同調性が低く、混合した系統がD. takahashiiの表現型に引き寄せられるように変化していた。これらの結果は、特定の遺伝子型や種の存在が、単なる平均化では説明できない形で集団特性の形成を方向づけることを示唆している。


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