| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) H03-04  (Oral presentation)

環境傾度に沿う個体群とその個体群行列モデル
Matrix population model along a gradient

*島谷健一郎(統計数理研究所)
*Kenichiro SHIMATANI(I. Statistical Mathematics)

 多年生草本ミヤマハタザオについて、海岸近くの標高300mから高山帯の3000mまで計28の調査地を設け、2007年春から2010年春まで、春と秋にモニタリング調査を行い、生残、新規加入、葉の大きさや数、花茎数、果実数などを記録した。これらのデータと対象種に関する既知の生活史をもとに、生育ステージとして、まず、開花と非開花分け、それぞれ花茎数と葉面積でサイズクラスに分けられる。これらは連続量でもありので、生残率や非開花個体の開花率、ステージ間推移確率は、ロジスティック回帰や線形回帰モデルで連続的に定式化し、データから推定することもできる。また、春と秋に調査を行ったので、春ステージと秋ステージを設け、生残率や推移確率は春と秋の間(夏)と秋と冬の間(冬)に分け、開花率は冬のみとした。標高という環境傾度に沿った28の集団について、標高に沿っての特徴づけや変化を視覚化したい。生残率や開花率は生育ステージ依存の曲線で表示されるため、28集団の変化は視覚的に捉えにくい。そこで、個体群行列の最大固有値の固有ベクトルで重みづけ平均をとって標高に沿って並べた。固有値の偏微分係数である感度では、生残率や開花率で偏微分する感度も考えられる。それらもまた固有ベクトルで重みづけ平均することで標高に沿って数値を並べて表示できる。こうした記述統計をもとに、将来的には28集団をまとめてベイズ推定することが望まれる。本研究は、田中健太(筑波大)との共同研究だが、健太氏は2025年5月の山岳事故により還らぬ人となってしまった。本発表は発表者の単名で行う。


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