| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) I01-08  (Oral presentation)

太陽光発電と風力発電の統合型発電施設における鳥類への複合影響の解明
Revealing the Combined Effects of Integrated Solar–Wind Power Facilities on Birds

*茨田匡, 北村亘(東京都市大学)
*Masashi BARADA, Wataru KITAMURA(Tokyo City Univ.)

再生可能エネルギーの普及は、温室効果ガス排出量の削減に大きく貢献してきた。一方で、新規建設に適した土地の確保は困難になっている。そのため、土地利用効率が高く、排出削減効果の大きい風力発電と太陽光発電が一体化した統合型発電施設システムが注目されている。しかし、このような施設は野生生物に新たな生態学的影響を及ぼす可能性がある。例えば、太陽光発電施設は反射光によって双翅目昆虫などを誘引することが知られており、その結果、昆虫食性鳥類が集まり、風力タービンとの衝突リスクが高まる可能性がある。本研究では、風力発電施設と統合型発電施設の間で、鳥類の飛翔頻度に違いが見られるかを検証した。調査は日本の北海道根室市において実施し、風力発電施設、統合型発電施設、ならびに発電施設のない対照地で鳥類の飛翔頻度を記録した。鳥類は、猛禽類(タカ目)、カモメ類(チドリ目)、およびスズメ目(カラス類を除く)の3通りに分類した。飛翔頻度を目的変数とし、発電施設の種類(風力発電施設、一体型施設、対照地点)を説明変数としたベイズ一般化線形混合モデルにより分析した。その結果、スズメ目では繁殖期において、風力発電施設および統合型発電施設の両方で飛翔頻度が増加した。一方、カモメ類では全対象地で冬季に飛翔頻度が低下し、猛禽類では年間を通じて統合型施設において飛翔頻度の減少が確認された。これらの結果は、統合型発電施設に対する反応が鳥類群によって異なることを示している。スズメ目は太陽光発電施設をソングポストとして利用している可能性があり、その飛翔行動は営巣環境や採餌環境の違いに影響を受けていると考えられる。今後は、発電施設が種ごとに果たす生態学的役割について、さらなる検討が必要である。


日本生態学会