| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) I02-03  (Oral presentation)

雨飾山北斜面におけるマメシジミ類の現状と保全上の課題
Current status and conservation issues of the Pisidiidae sp. on the northern slope of Mt. Amakazari

*山本聡子(上越環境科学センター)
*Satoko YAMAMOTO(JEC)

 雨飾山は妙高戸隠連山国立公園の西端に位置する標高1963mの山である。北斜面の標高1600m付近には登山道沿いにぬかるみや池が連なり、最大の「中の池」には殻長1~5㎜の微細な二枚貝が生息することが知られ、現地には「フクイマメシジミ生息地」の看板が立てられている。
 近年、中の池に土砂の流入があり面積が縮小していると登山道管理者より報告があり、2022~2025年度に環境省のグリーンエキスパート事業及びグリーンワーカー事業として実態調査と対策の試行が行われた。
 2022年9月の実態調査では、中の池ともう一つの池でマメシジミ類が確認され、形態によりフクイマメシジミとハイイロマメシジミの2種に同定された。採取調査により中の池のマメシジミ類は水深が浅く水底に落葉と黒い腐植が堆積しているところに多く生息し、水深40㎝を超える深みや砂が堆積している部分にはほとんど生息していないことが確認された。
 水際から3m離れた陸域で深さ50cmの土柱を採取したところ、深さ3~38㎝に砂とシルトのみの層が連続して確認された。ここには明るいオレンジ色を呈する粗い砂が含まれ、規模の大きな出水による堆積物とみられた。その前後には腐植質の混じった砂・シルトの層があり、含まれる砂の形状は登山道の表土に含まれるものと酷似していた。
 中の池に日常的に流入する土砂の発生源として登山道が疑われたため、2023年10月に山頂方面の登山道の雨水吐きに土留め資材(東京クレセントロール)を試行設置した。2024年10月に資材が土砂を止めていることが確認できた。
 2025年10月に標高1600m付近の登山道沿いに連なるぬかるみでマメシジミ類の簡易的な生息調査を行い、新たに2カ所の生息地を確認した。生息が確認されたぬかるみはいずれも上方斜面と登山道の間にあり、斜面とのつながりがマメシジミ類の生息を可能にしているものと思われた。


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