| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) I02-04 (Oral presentation)
近年の気温上昇や極端な大雨は、湖沼に大きな影響を及ぼしつつある。水位操作は喫緊の課題で、琵琶湖では1992年より、洪水リスク軽減のため梅雨時期の水位を低下させる操作が実施されている。水位の操作は、湖岸や浅瀬に生息する生物への影響だけでなく、浅瀬を産卵場として利用する魚類にも甚大な影響を与えていると言われ、生態系を支える低次生産者全体に影響を与えている可能性がある。そこで本研究は、琵琶湖を対象に湖底堆積物を用いた解析により、過去100年にわたる動・植物プランクトン動態を復元し、近年の環境変化や水位操作が低次生産者に与えた影響を解明することを目的とする。
プランクトンの復元は、北湖で採取した堆積試料に残る遺骸を観察し行った。本研究では急速な繁茂が懸念されている大型藻類Micrasterias hardyiにも着目し、本種に付着する菌類(ツボカビ)を蛍光顕微鏡下で観察し、付着率を算出した。変動要因や群集構造の違いを評価するため、一般化加法モデル(GAM)やBray-Curtis指数の算出を実施した。
分析の結果、動植物プランクトン群集は共に1960年頃と1990年代前半に大きな変化が生じていること、M.hardyiへのツボカビ付着率は5%程で、1990年代以降ほぼ変化してないことが判明した。変動要因について、プランクトン群集は共通して水位が主要な説明変数として抽出され、さらに植物プランクトンは加えて動物プランクトンのプリカリアミジンコが、動物プランクトンは次にプランクトン食魚類が有意な要因として抽出された。現在の琵琶湖を特徴づける大型藻類のM.hardyiやStaurastrum dorsidentiferumは、プリカリアミジンコが主要な説明変数として次に水温が抽出され、プリカリアミジンコはプランクトン食魚が主要因であった。以上から琵琶湖では1990年代以降、水位や水温の環境変化と捕食圧の影響で大型種が優占するプランクトン群集に変化してきた可能性が高いと推察された。