| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) I02-07 (Oral presentation)
1.はじめに
タイワンツバメシジミ本土亜種(Everes lacturnus kawaii)は絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されているが、保全対策に必要な情報は不足している。そこで、個体群動態や生息地状況の調査を実施するとともに、食草であるシバハギとタイワンツバメシジミの越冬幼虫の保全に有効な下刈り方法を検討した。著者の麻生由宇、毛利早希、岡田優奈(大和ハウスではなく大和リース)はいずれも宮崎大学農学部在学中にこの研究に従事した。
2.方法
成虫の標識再捕獲調査と食草のシバハギの調査を行った。異なる光条件下でのシバハギの開花調査を行うとともに3種類の下刈り処理(地表刈、膝丈刈、無処理)を設定しシバハギの成育状況を比較する実験を行った。
3.結果
パッチ間移動した個体が複数確認された。最大で約941mの移動が確認された。シバハギの開花とタイワンツバメシジミの発生は同調していたが、各調査区間ではピークにずれがあった。食草であるシバハギの花の開花・結実には林縁や林外の明るさが必要であることが明らかであった。下刈り処理後の相対光量子束密度は高かった。シバハギの開花個体の割合は膝丈刈区で高く、他の処理区では割合が低かった。確認された越冬幼虫の地上高は7~32cmであった。
4.考察
パッチ間移動が確認されたため、タイワンツバメシジミは新しい生息地パッチへの活発な移入によってメタ個体群構造を維持していると考えられる。膝丈で下刈りを行うと、シバハギの開花結実に好適な光環境の形成と、シバハギと越冬場所及び越冬幼虫の刈残しが同時に可能となるため、タイワンツバメシジミの保全をするうえで有効な方法であると考えられる。そこで土地所有者である宮崎市や森林組合などにこの情報を共有し、適用していただくようお願いした。