| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) I03-01 (Oral presentation)
巣箱を用いた鳥類調査は普遍的な研究手法であり、繁殖成績や食性など様々な基礎生態の解明に活かされてきた。一方で、データの取得のための頻繁な見回りは人的コストが高く、観察対象への撹乱も問題となる。そこで近年、カメラや各種センサーによる無人観察技術が注目を集めている。しかし、野外で無人観察を繁殖期間を通して運用する場合、電力消費が主要なボトルネックとなる。このため既往研究では、恒常電源の確保や頻繁なバッテリー交換・保守によって運用を支える、あるいは記録頻度を下げて消費電力を低下させるといった工夫がなされてきた。その結果、前者では設置箇所が制限され、後者ではデータの時間解像度が低下し、睡眠や給餌といった行動データの取得が困難になるなど、電力の制約は研究デザインを大きく規定している。本研究では、外部インフラや頻繁な保守に依存せずに繁殖ステージから巣内行動まで多様な繁殖データを取得する技術基盤を作ることを目的とし、省電力なタイムラプスカメラの開発を行った。開発した装置はマイコンESP32の間欠動作によって待機電力を大幅に抑制し、アルカリ単1電池8本を電源として30秒に1回の近赤外LED照明下の静止画撮影を約2ヶ月間継続可能である。2025年春に同装置をキビタキ用巣箱に設置し、営巣が見られた3例について繁殖期間を通した巣内の連続撮影画像を得ることができた。本発表では取得データを基に、観測間隔の設定が、扱える行動指標の幅(繁殖ステージ、睡眠姿勢パターン等)やイベントの見逃しをどのように規定するかを議論する。