| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) J03-09  (Oral presentation)

近年発生したタケ・ササ類の広域開花の実態
Recent Large-Scale Flowering Events in Bamboos

*小林慧人(森林総研関西)
*Keito KOBAYASHI(FFPRI Kansai)

 広域に発生する生態現象の全体像把握は、多様な研究の基盤情報を提供し、人間社会への影響評価にも資する重要な課題である。しかし、その把握は空間・時間スケールや調査体制など多様な条件に依存するため、単一手法による把握には限界がある。したがって、現象特性を踏まえた統合的な方法論の整理が必要である。
 イネ科タケ亜科のタケ・ササ類の多くは、数十年から一世紀以上の間隔で一斉開花・結実・枯死を示す、長寿命一回繁殖型の生活史をもつ。これらの現象は、山系から日本全国に至る広域スケールで同調的に生じる場合がある。各開花イベントの全体像把握は、この特異な生活史の進化的理解に資するのみならず、開花枯死後に生態系レベルで生じる変化や人間社会への影響を検討する上でも重要な基盤となる。各種・各集団での発生頻度は低い一方、全国規模では断続的に記録されていることから、例外的事象としてではなく、広域スケールで反復的に生じうる生態現象として体系的に捉える視点が必要である。
 本発表では、まず先行研究レビューに基づき、国内のタケササ類を便宜的に11分類群に区分し、20世紀以降に各分類群の広域開花現象がどのような時間・空間スケールで記録されてきたかを、用いられた調査手法とあわせて整理する。次に、近年発生が確認されている、あるいは近い将来に発生が見込まれる3分類群(全国各地のマダケ属ハチク、ササ属チマキザサ節〔主にクマイザサ〕、スズダケ属)を対象に、発表者らが実施してきた現地踏査に基づく広域把握の手法と、現時点で得られている実態の速報を紹介する。以上を踏まえ、既存手法の課題と今後の方法論的展望について議論する。


日本生態学会