| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) K03-12  (Oral presentation)

国・都道府県単位で見た未利用肥料資源の賦存量とその農業での再利用
Quantative assessment of non-utilized resources and their agricultural use on national and prefectural scales

*三島慎一郎(農研機構)
*Shinichiro MISHIMA(NARO Ins. Agri-Env. Sciences)

【はじめに】農水省の「みどりの食料システム戦略」では、’50年目標で25%の作付けを有機農業に転換することが謡われている。しかし、有機農業に必要な肥料資源の調達に関しては言及していない。本発表では肥料資材として米ぬかと生ごみの堆肥化物の窒素(N)・リン酸(P2O5)・カリ(K2O)量を推計し、化学肥料の代替としての効率(肥効)を考慮してどの程度に相当するかを推計した。対象年は2020年とした。【算出過程】米ぬかは玄米収穫量の10%(722.5Gg)とした。272.5Ggはこめ油として利用されており、そのこめ油粕と未利用米ぬかをそのまま利用するとした。生ごみは事業系で2,301Ggが、家庭からのごみの排出量は41,670Ggの内38.4%が生ごみとされ1,085Ggが発生するとした。計3,386Ggを全量堆肥化するとした。化学肥料に比して、米ヌカではNは70%、P2O5とK2Oは80%、同様に生ごみの堆肥化物は40%、85%の効果があるとした。日本における化学肥料の施用量はFAOStatを参照した。【結果】米ぬか・米ぬか粕には18.8GgN、42.4GgP2O5、17.1GgK2Oが含まれ、化学肥料の13.2GgN、33.9GgP2O5、13.7GgK2Oに相当した。生ごみ堆肥には36.8GgN、12.7GgP2O5、20.9GgK2Oが含まれ、化学肥料の14.7GgN、10.8GgP2O5、17.8GgK2Oに相当した。化学肥料は354.9GgN、322.0GgP2O5、209.6GgK2Oが施用されていた。米ぬか・脱脂米ぬか、生ごみ堆肥の合計量は化学肥料の7.9%、14.0%、15.0%に相当した。【考察】全作物を一律25%有機農業に転換するには、必要な肥料資源が不足すると考えられた。前提条件は異なるが、Nの不足により有機農業を支える肥料資源は不足する推計もあった (三島2025土肥誌)。ただし、有機農業で使用される肥料資源は多種多様であり言及されていない資材もある。地域にある肥料資源の品目と有機農産物化する作物の組み合わせ・重点化を行い、肥料資源の循環利用を強化することで数値目標ではなくより頑健かつ健全な作物生産を目指すことが本論であろう。


日本生態学会