| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) M02-01  (Oral presentation)

島間比較で明らかとなった伊豆諸島の国内外来種アズマヒキガエルの生態的特性の違い
Ecological differences were found in the non-native Eastern Japanese common toad (Bufo formosus) among the Izu Islands.

*Yusuke MAGOME, Kiyoto SAWADA, Takashi KAMIJO(Tsukuba Univ.)

島嶼生態系は, 外来種による撹乱に脆弱であることが知られている. このような外来種の駆除や個体数管理には, 生態学的な基礎知見が必要不可欠である. 一方で, 外来種は侵入地という新たな環境に適応するため, 生態的特性を変化させることがある. 本研究では, 伊豆諸島(大島・新島・三宅島・八丈島)の国内外来種アズマヒキガエルBufo formosusを対象に分布・個体群密度・外部形態・食性を調査し, 島ごとの生態的特性を理解することを目的とした. そしてそれが島間で異なるのかを検証した. 分布調査では, MaxEntによる種分布モデルを作成し, 本種の生息に重要な環境要因と潜在的生息適地を推定した. 個体群密度調査では, 各島の環境の異なる複数地点で10分間探索・個体数を記録し, 1kmあたりの個体数を算出した. 外部形態測定では, 7項目を電子ノギスで測定し, 体長以外の6項目は体長の影響を除くため残差分析を行った. 食性調査では, 胃内容物を最低でも綱まで同定し, 胃重要度指数を算出した. 最後にこれらの結果を島間で比較した. 分布調査の結果, 本種の分布様式は島間で異なっていた. また, 森林の面積割合が本種の生息に重要な環境要因であることがわかった. 個体群密度調査の結果, 三宅島が最も高密度で, その数は最高965個体/kmであった. 外部形態の比較の結果, 大島では体長・脚長は大きく、八丈島では耳腺の長さ・幅が小さかった. 食性調査の結果, コウチュウ目など全島共通してみられる分類群がある一方で, その重要度は島間で異なっていた. また, 三宅島では他の島では比較的利用されてないヨコエビ目やヤスデ綱も重要な餌資源の一つであった. 本研究によって, 本種は島間で異なる生態的特性を有することが明らかとなった. 今後は, 本種の個体数管理・駆除に向けた施策を策定することに加え, 遺伝的・環境的要因から生態的特性の差異の要因を調査する必要がある.


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