| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) M02-02 (Oral presentation)
魚食性のコクチバス Micropterus dolomieu は日本において特定外来生物に指定され、生態系への影響が懸念されているが、日本での生態研究は乏しい。本研究では2024・2025年に富山県桂湖において、食性解析および耳石を用いた成長モデルの作成を行った。桂湖はコクチバスが優占し、他の魚類が乏しい特異な環境である。
食性解析の結果、2024年251個体、2025年194個体の計445個体中、魚の捕食が確認されたのは4個体のみで、DNA解析により全て共食いであることが示された。一方、両年とも最も多く利用されていた餌資源はスジエビであり、加えてトンボ成虫やアリ、カメムシなどの陸上性無脊椎動物が多く確認された。体長の増加に伴い、陸上性無脊椎動物の利用は増加した。
また、53個体の耳石から年齢推定を行い成長モデルを作成した結果、桂湖のコクチバスはアメリカの成長モデルと比較して小型であることが示された。
以上より、桂湖では魚類の利用が極めて限定的であり、体長増加に伴う餌資源の転換によって魚の乏しい環境でも定着可能である一方、成長が抑制されている可能性が示唆された。本研究は、コクチバスの侵入先環境における生態的適応と、その高い食性柔軟性が管理上のリスクとなり得ることを示す。