| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) M02-11  (Oral presentation)

陸域生態系シミュレーションにおける可視化の役割と課題
The Role and Challenges of Visualization in Terrestrial Ecosystem Simulation

*佐藤永(海洋研究開発機構, 東京大学)
*Hisashi SATO(JAMSTEC, The Univ. of Tokyo)

動的全球植生モデル(DGVM)は、気候変動に伴う植生変化や、生物地球化学・水文学的循環を数値的に再現・予測するためのシミュレーションモデルである。SEIB-DGVMはその一種で、森林動態や植生遷移を個体レベルで表現できる点に特徴がある。この種のモデルでは多様な入出力データを扱うため、内部状態の理解には可視化が不可欠である。しかし、DGVMを含む植生モデル研究では、視覚的分析やインタラクティブな表示手法の整備が十分とはいえない。
そこで本研究では、ゲームエンジン「Unity」を用い、直感的に操作可能なデータビューワー「SEIB-Explorer」を開発した。本ツールは、SEIB-DGVMの出力のうち単一地点における森林構造と機能を対象とし、時間的変化を三次元的に可視化するものである。試作版の評価では、操作性やデザインに対して概ね好意的な評価が得られた一方、季節変化の表現や植生間相互作用の描写には改良の余地が指摘された。
さらに、本研究ではこのSEIB-Explorerにモデルコアを結合し、シミュレーションの実行から結果の可視化までを一貫してGUI上で完結できる統合型システムを実現した。これにより、コマンド操作やプログラミングに不慣れな利用者でも容易にモデル解析を行うことが可能となり、研究・教育の双方における利用障壁を大きく低減した。今後は、この統合モデルを活用し、入力条件を変更しながら結果を動的に比較・検討できるインタラクティブな環境の構築や、教育・展示用途への応用展開を計画している。


日本生態学会