| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) M03-10  (Oral presentation)

衛星画像では判別できない「ちょっと深い」海域の海藻藻場分布を推定する
Estimating seaweed bed distribution in deeper part of subtidal zone

*仲岡雅裕, 萩原ひかり, 姚遠(北海道大学)
*Masahiro NAKAOKA, Hikari HAGIWARA, Yuan YAO(Hokkaido University)

海藻藻場は、一次生産、海洋動物への生息地の提供、ブルーカーボンシンクなど多様な機能を持つが、近年急速に減少しており、早急な広域長期モニタリング体制の確立が求められている。藻場の広域モニタリングには衛星画像を用いたリモートセンシング手法が広く用いられているが、水深が深い海域の正確な観測が難しい。この課題に対し、環境変数と生物分布の関係に基づき生息適地を推定する種分布推定モデル(SDMs)は、藻場の深い部分の分布推定に有効な手法であり、リモートセンシングでは難しい種レベルで分布を推定することも可能である。本研究では、SDMsを用いて北海道東部の厚岸湾内に分布する岩礁帯を対象として藻場分布の評価を行った。対象海域内で水中ドローンを用いて動画を撮影し、大型褐藻4種(アナメ、ウガノモク、ナガコンブ、マコンブ)と紅藻1種(クシベニヒバ)の在不在を判定した。湾内の環境変数として、水深、光減衰率、波あたり、傾斜を用いてSDMsにより各種の分布を推定した。推定には、在データのみを用いるMaxEntと在不在データを用いるGLMまたはGAMを利用した。得られた確率分布の予測に対してそれぞれ閾値を設定し、在不在の二値マップを作成して藻場分布面積と水深分布を推定し、衛星画像から判別した先行研究(環境省2021)と比較した。SDMsを用いて5種について推定された分布面積は、MaxEntで19.8 km2、GLM/GAMでは25.1 km2で、先行研究(11.7 km2)より広い分布を予測した。また、MaxEntが最も深い水深帯まで藻場の分布を推定し、次いでGLM/GAM、先行研究の順となった。以上より、衛星画像では検出が難しい藻場の深い部分の分布推定においてはSDMsの活用が有効であることが示された。


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