| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


一般講演(口頭発表) Q02-10  (Oral presentation)

住民アンケートを用いた兵庫県内都市周辺の哺乳類分布の経年変化
Temporal changes in mammal distribution around urban areas in Hyogo Prefecture based on resident questionnaires

*栗山武夫(兵庫県立大学, 兵庫県森林動物研究セ), 高木俊(兵庫県立大学, 兵庫県森林動物研究セ)
*Takeo KURIYAMA(UOH, Wildlife Res. Ctr, Hyogo), Shun TAKAGI(UOH, Wildlife Res. Ctr, Hyogo)

日本では、中・大型哺乳類は20世紀半ばまで生息地の消失や狩猟圧により個体数および分布が減少したとされるが、1970年代以降、多くの種で分布拡大が確認されている。これらの哺乳類は近年、人口密集地の周辺や内部にも定着しつつあり、クマ類に代表される人身被害の増加に加え、交通事故や人獣共通感染症の感染リスクの増大が懸念されている。一方、人口密集地における中・大型哺乳類との軋轢解消に関する研究は国内外で乏しく、農業被害対策に焦点を当てた事例が大半を占める。そのため、人口密集地周辺での分布実態や農業被害以外の影響を把握し、捕獲や住宅地侵入防止を含む管理方策に資する知見の集積が喫緊の課題である。
本研究では、兵庫県の都市地域に位置する市街化区域を対象に、集落代表者へのアンケート調査(2011〜2023年度、13年分)を用いて、中・大型哺乳類の分布および集落周辺での出没状況の経年変化と周辺環境との関係を解析した。対象種はニホンジカ、イノシシ、アライグマの3種とし、分布・出没状況を4段階で評価した。その結果、13年間で3種すべてに分布・出没レベルの増加が認められ、増加の程度はアライグマが最も大きく、次いでイノシシ、ニホンジカであった。この出没レベルと周辺景観との関係性を明らかにするため、種ごとに、分布・出没の4段階を目的変数、森林・耕作地・湿地・年を説明変数、集落をランダム効果とした順序ロジスティック解析を行った。周辺景観は100・500・1000・1500・2000・2500mのバッファを発生させ、それぞれをAICで比較した。解析の結果、アライグマでは500m、イノシシでは1000m、ニホンジカでは1500mの周辺景観が最も適合した。いずれの種でも森林面積率および年次の増加に伴い分布・出没レベルが上昇し、都市周辺から市街地内部への定着が進行している可能性が示唆された。


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