| | 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
一般講演(口頭発表) Q02-11 (Oral presentation)
生物の分布は様々な環境要因によって決定され、景観もその重要な要因のひとつである。特に、鳥類は生息に適した環境条件や利用する資源が多様であるため、景観の違いによって地域の鳥類相は大きく異なる。例えば、森林面積の大小によって鳥類の種数や個体数が異なるという報告などがある。都市地域では、人間の活動に伴う景観の変化が生じやすいことから、局所的なスケールの景観が鳥類に大きな効果をもたらしていると考えられる。しかしながら、これまでの多くの研究では広域的なスケールの景観と鳥類群集との関連について議論されており、局所的なスケールの景観による効果については未だに議論の余地がある。
そこで本研究では、都市の鳥類群集の多様性を創出する要因として、局所的スケールの景観要素に着目した。神奈川県相模原市の市街地に18か所の調査地点を設定し、各調査地点を中心とする半径50 mから400 mのスケールの景観構造について、高解像度土地利用土地被覆図(JAXA)をもとに解析した。また、各調査地点において、夏期と冬期にそれぞれ出現した鳥類の種と個体数を記録した。その後、NMDS(非計量多次元尺度法)による群集解析を行い、群集の多様性を説明する景観要素の効果について検討した。
調査地全体で33種の鳥類が記録され、鳥類群集の構造は調査地点ごとに異なっていた。また、NMDSプロットに示された群集の配置に対する景観要素の相関を算出した結果、夏期には畑地や樹林、冬期にはそれらに加えて人工構造物との有意な相関が認められた。人工構造物の効果が季節によって変化した理由としては、畑地の耕作状況やカワラバトの行動の季節変化などが重要だと考えられる。