| 要旨トップ | ESJ73 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract

シンポジウム S04  3月12日 9:00-12:00 Room D: 京大4号11

絶滅危惧種の保全事業の費用対効果を最大化する優先順位付けの方策を考える
Considering strategies for prioritizing endangered species conservation projects to maximize cost-effectiveness

中島慶次（鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター）, 中村太士（北海道大学大学院農学研究院）
Keiji NAKASHIMA（Southern Kyushu and Nansei Islands Innovation Center, Kagoshima University）, Futoshi NAKAMURA（Graduate School of Agriculture, Hokkaido University）

近年、わが国では絶滅危惧種、及び「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律（種の保存法）」の国内希少野生動植物種（国内種）の指定種数が増加し、どの国内種に保護増殖事業計画を策定するか、どの国内種の保護増殖事業にどれだけの予算を配分するか、保護増殖事業を含む絶滅危惧種の保全事業の費用対効果をどのように考えるか、国・地方公共団体・民間の各主体でどのように効果的に連携するか等の課題が発生している。 そのような中、2025年6月に公表された、環境省の種の保存法の施行状況評価報告書（p15）には、「…全ての種を国主導で個別に保護することは難しいため、国の基本方針等においてより具体的な優先順位を付けて戦略的な事業実施のあり方を示すことが重要である。」とされており、今後、わが国でも、絶滅危惧種の保護増殖事業を対象に、戦略的な予算の優先順位付けの方策についての議論が行われることが期待される。　　　　　　　　　　　　　
本シンポジウムでは、これまでの環境省の保護増殖事業全体と各事業の取組みや予算の変遷の紹介、奄美大島での保護増殖事業と外来種防除事業の予算と成果の事例報告、NGOが行っている絶滅危惧種の保全事業の取組みと予算の紹介、他国・地域で行っている絶滅危惧種の保全事業の優先順位付けの事例紹介とディスカッションを通じて、わが国の絶滅危惧種の保全事業全体について、予算の効果的な配分と効率的な事業実施、費用対効果を考慮した保全事業の優先順位付け方法の検討を課題として提起し、その必要性やあり方について議論する。

[S04-1]
これまでの環境省の保護増殖事業の取組と予算の概要 *北橋義明（環境省）
Overview of the Ministry of the Environment's Protection and Reproduction Programs and their budgets to date *Yoshiaki KITAHASHI（Ministry of the Environment）

[S04-2]
保護増殖事業と外来種防除事業の予算と成果　（奄美の事例） *山本以智人（環境省）
Budget and Outcomes of Protection and Reproduction Programs and Invasive Species Control Programs (Case Study: Amami) *Ichihito YAMAMOTO（Ministry of the Environment）

[S04-3]
日本自然保護協会（NACS-J）が取り組む地域を基盤とした絶滅危惧種保全事業と予算 *出島誠一（日本自然保護協会）
Community-Based Strategy for Endangered Species Conservation and Budget Management at NACS-J *Seiichi DEJIMA（NACS-J）

[S04-4]
各国・地域の絶滅危惧種の保全事業の優先順位付けの事例紹介 *中島慶次（鹿児島大学）
Case Studies on Prioritizing Conservation Projects for Endangered Species in Countries and Regions *Keiji NAKASHIMA（Kagoshima University）

日本生態学会