| 要旨トップ | ESJ73 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract

シンポジウム S05  3月12日 9:00-12:00 Room E: 京大国際32

魚類行動生態学における野外観察と室内実験の統合：方法論的課題と展望
Integration of field observations and laboratory experiments in fish behavioral ecology: methodological challenges and perspectives

近藤湧生（大阪公立大学）, 川坂健人（新潟大学）, 佐藤駿（京都大学）
Yuki KONDO（Osaka Metropolitan Univ.）, Kento KAWASAKA（Niigata Univ.）, Shun SATOH（Kyoto Univ.）

行動生態学は、実験室での実験操作と野外観察という相補的なアプローチによって発展してきた。実験室での実験操作は、要因を統制した条件下で行動の至近メカニズムや因果関係を明らかにする強力な手法である。一方、野外観察は自然環境下での行動の適応的意義を評価する上で不可欠である。しかし、両者の統合は容易ではない。野外で観察された行動を実験室でどう再現するか、実験室で明らかになったメカニズムが野外でも機能しているかをどう検証するか、野外と実験室での行動の違いをどう解釈するかなど、多くの方法論的課題が存在する。魚類は、実験操作が可能でありながら野外観察も比較的実施しやすく、統合的研究に適した分類群の一つである。本シンポジウムでは、魚類を研究対象とする若手研究者が、野外調査と実験的検証それぞれの強みを活かしながら展開している研究を紹介する。具体的な事例を通じて、野外と実験室を往還する研究デザインの方法論的課題と今後の展望を議論する。

[S05-1]
実験室と野外でのメダカの繁殖開始時刻のズレ：24時間連続観察による解析 *近藤湧生（大阪公立大学）
Differences in Medaka spawning time between laboratory and field conditions: continuous 24-Hour monitoring *Yuki KONDO（Osaka Metropolitan Univ.）

[S05-2]
ブラウントラウトの睡眠生態学 : 野外個体群への行動アプローチの適用 *古澤千春（大阪環農水研・多様性）, 小泉逸郎（北海道大学）
Sleep ecology of the brown trout : applying behavioral approach to a wild population *Chiharu FURUSAWA（RIEAFO, Biodiv）, Itsuro KOIZUMI（Hokkaido Univ.）

[S05-3]
魚類の粘液給餌: 脊椎動物における分泌物給餌の新しい研究モデル *佐藤駿（京都大学）
Mucus provisioning in fish as a novel model system for secretory provisioning in vertebrates *Shun SATOH（Kyoto Univ.）

[S05-4]
形態観察、水槽実験、遺伝解析から明らかにしたクロダハゼの反復した止水適応 *高田喜光（京都大学）
Repeated adaptation of Rhinogobius kurodai to lentic environments revealed by morphological observations, tank experiments, and genetic analyses *Yoshimitsu TAKADA（Kyoto Univ.）

[S05-5]
ミジンベニハゼの柔軟な性様式 *尾山匠（広島大学）
Plastic sexual pattern in the goby, Lubricogobius exiguus *Takumi OYAMA（Hiroshima Univ.）

[S05-6]
なぜ魚は種間摂餌連合を形成するのか？野外観察から明らかにするその要因 *川坂健人（新潟大学）
Why fish feed together with other species? Field observation reveals the factors of the nuclear-follower foraging association *Kento KAWASAKA（Niigata Univ.）

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