| | 要旨トップ | ESJ73 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W02 3月12日 12:15-13:45 Room B: 京大4号31
東北地方の多雪地には広域にわたってブナ林が分布しており、ブナは積雪環境に適応しながら生育している。近年の気候変動により、冬季に湿雪が多くなることや、春先の融雪時期が早まることが指摘されている。こうした変化のなかで、ブナ林が今後も維持されうるのか、あるいは何らかのリスクに直面するのかを明らかにするためには、ブナが生活史を通じて積雪環境にどのように適応しているのかを理解することが重要である。
多雪地に生育する樹木では冬の積雪時期において、種子から稚樹の段階までは個体全体が雪に埋もれるが、成木になると幹下部や根系は積雪下にありながら、枝や冬芽は雪上に出た状態となる。このように、同一地域に生育していても、生育段階によって雪から受ける力学的な影響や温度環境は大きく異なるため、積雪環境に対する適応の仕方についても生育段階ごとにみていく必要がある。
本集会では、種子発芽、埋雪稚樹、雪上に出る成木といった異なる生育段階におけるブナの雪への適応をテーマとする4件の発表を行い、これらの知見をもとに、気候変動がブナの生育や森林維持に及ぼす影響について議論したい。
[W02-1]
ブナ種子の積雪下における発芽日の積雪環境に応じた局所適応
Local adaptation of the timing of Fagus crenata seeds germination under snow cover
[W02-2]
雪に埋もれる樹木と雪から出た樹木における幹のかたさとかたち
Flexural stiffness and form of snow-buried and exposed tree trunks
[W02-3]
膨張過程にある冬芽の低温脆弱性: 多雪地樹木の芽吹きのプロセスから
Elucidating the budburst process in heavy snow forest.: Informing vulnerability to low temperature of swelling bud
[W02-4]
ブナの開芽時期は多雪山地の消雪時期の空間的変化にどのように局所適応しているか
How does the timing of budburst of beech locally adapt to spatial variation of the timing of snow-thaw in a snowy mountain.