| | 要旨トップ | ESJ73 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W14 3月12日 17:15-18:45 Room F: 京大国際31
島は進化の実験場ともいわれ、生態学的・進化生物学的に非常に興味深い対象である。近年、島嶼の生物に関する全球規模の情報の共有が進み、世界の様々な島嶼域を対象とした比較研究が盛んになっている。日本においても、これまで伊豆諸島や小笠原諸島、琉球列島を中心に多くの優れた島嶼生物学的研究が行われてきた。また、日本が島国である以上、離島に限らず日本列島で行われている生態・進化生物学的研究は、すべて島嶼生物学的研究として捉えることも可能である。しかし、現在の世界の島嶼生物学の中で、必ずしも日本発の研究が相応に認知されているとは言えない。そのような状況の中、2026年には島嶼生物学の国際会議であるIsland biologyが日本で開催されることが決定した。この会議は日本の研究を世界の島嶼生物学分野の研究コミュニティに発信し、日本発の研究の存在感を高める良い機会となることが期待される。
本自由集会のシリーズでは、以上のような視点から、日本の島々で行われてきた生態学・系統地理学・進化生物学的研究が、世界の島嶼生物学の中で果たしうる役割を再考・展望することを目的とする。今回は「日本から発信する島嶼生物学」シリーズの第七弾として、人によって島に持ち込まれた生物をテーマとする。はじめに、瀬戸内海国立公園内の大久野島で野生化しているアナウサギの現状と由来について紹介し、次に伊豆諸島において一部の島に導入された捕食者の影響が導入されていない周辺の島々の鳥類相にも波及したと思われる事例を紹介し、最後に、有史以前に人類によって小笠原諸島へと持ち込まれた可能性のあるテリハボクの遺伝構造について紹介し、その侵略性に限定せずに広い視野から「人によって持ち込まれた島の生物」について議論したい。
[W14-1]
広島県大久野島のアナウサギ集団はどのように形成されたのか?
Origin and formation of the feral rabbit population on Okunoshima Island, Hiroshima Prefecture
[W14-2]
人為導入された捕食者と自然分散によって変化する海洋島の鳥類群集構造
Changes in avifauna on oceanic islands driven by introduced predators and natural dispersal
[W14-3]
小笠原諸島のテリハボク:遺伝的多様性が語る人為的導入の可能性
Calophyllum inophyllum in the Bonin Islands: Genetic Diversity Reveals a Possibility of Human-Mediated Introduction