| 要旨トップ | ESJ73 自由集会 一覧 | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨
ESJ73 Abstract


自由集会 W22  3月12日 19:00-20:30 Room D: 京大4号11

植物生理生態:温暖化は植物の呼吸・成長・開花をどう変えるのか?
Plant Physiological Ecology: How Does Global Warming Affect Plant Respiration, Growth, and Flowering?

梶野浩史(東北大学), 河合清定(国際農研), 才木真太朗(森林総合研究所), 田邊智子(国立極地研究所), 平野侑(信州大学)
Hirofumi KAJINO(Tohoku Univ.), Kiyosada KAWAI(JIRCAS), Shin-Taro SAIKI(Forestry and Forest Products Research Institute (FFPRI)), Tomoko TANABE(National Institute of Polar Research), Yu HIRANO(Shinshu Univ.)

地球温暖化に伴い植物の生理機能や生態学的プロセスに対する温度の影響が一層顕在化している。成長や代謝、フェノロジー、分布などの温度応答を統合的に理解することは、 今後の植生動態や炭素循環の予測に不可欠である。 本自由集会では、植物の生理機構、物質生産、繁殖の温度応答を研究されている3名にご講演いただく。
まず、呼吸を始めとする生理機能の温度応答性は、樹種ごとの分布や成長・繁殖フェノロジーといった生態学的特性と対応しているかもしれない。そこで井上智美さんには、マングローブ植物3種における成長と呼吸特性の温度応答性ならびに胎生種子の散布フェノロジーや分布北限との関連についてご講演いただく。
また、植物の温度応答に関する既存研究の多くは、成長期の高温が生理や成長に与える影響に焦点を当てている。一方で、冬季休眠期における温度上昇がその後の成長や材形成に及ぼす影響は十分に理解されていない。そこで渡辺敦史さんに、季節に問わず温度依存的に成長しうるスギを対象に、休眠期の高温が翌春以降の成長過程および材形成に与える影響についてご講演いただく。
そして、温暖化に伴い開花時期が変化することは知られているが、野外ではそれを遺伝的な変化と個体の可塑性に分けるのが難しい。そこで桑門温子さんには、日本全国に北から南までクローンが分布するソメイヨシノを対象に、温暖化が休眠に関連する遺伝子の発現や休眠打破および開花時期に与える影響についてご講演いただく。
講演者・タイトル一覧
井上智美(国立環境研究所)「ヒルギ科マングローブ植物の呼吸温度依存性と繁殖季節性との関係」
渡辺敦史(九州大学大学院農学研究院)「冬季の温度がスギの成長に与える影響」
桑門温子(九州大学大学院理学研究院)「分子フェノロジーによる地球温暖化がソメイヨシノの休眠打破に及ぼす影響の予測」

[W22-1]
ヒルギ科マングローブ植物の呼吸温度依存性と繁殖季節性との関係 *井上智美(国立環境研究所)
Temperature dependance of O2 respiration in mangrove trees: implications for seedling dispersal phenology *Tomomi INOUE(NIES)

[W22-2]
分子フェノロジーによる地球温暖化がソメイヨシノの休眠打破に及ぼす影響の予測 *桑門温子(九州大学)
Predicting the impact of global warming on dormancy release in the Yoshino cherry tree through molecular phenology *Atsuko KUWAKADO(Kyushu Univ.)


日本生態学会