| | 要旨トップ | ESJ73 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第73回全国大会 (2026年3月、京都) 講演要旨 ESJ73 Abstract |
自由集会 W29 3月13日 17:15-18:45 Room A: 京大4号30
生物を取り巻く環境の変動は、生物集団の個体数を大きく変化させるだけでなく、捕食や競争、共生などの種間相互作用を通じて、群集構造や機能にも影響する。さらに近年、環境変動が生物集団の形質を変化させる効果に注目が集まっている。環境変動に応じて、可塑的に形質が変化するのみならず、選択圧の方向性が変わることで小進化動態にも影響をもたらす。そして、環境変動に対して迅速に適応進化することで集団の絶滅を回避する「進化的救助」のように、形質の変化と個体数の変化は互いに影響を及ぼし合い、複雑なフィードバック動態が生じる可能性がある。このような複雑な生態・進化プロセスを理解するためには、実験と理論の双方から迫ることが、非常に強力なアプローチとなる。室内実験では環境条件を厳密に制御することができるため、環境変動によって生態・進化プロセスがどのように変化するのか、精緻に調べることができる。特に、バクテリアやプランクトンなどのいわゆる微生物は世代時間が短いため、実験の過程で個体数や形質の変化を直接観察できる。一方、理論研究は現象を抽象化して、一般原理としての理解を促進する。さらに、数理モデルによる理論予測を、実験によって検証し、その結果から新たな理論を構築するという理論と実証のフィードバックが可能となる。本自由集会では、微生物を対象とした室内実験と数理モデルを用いて生態・進化プロセスの解明を目指す研究者の方々を招き、双方のアプローチから得られる知見や課題を共有するとともに、今後の展望を議論する。本集会を契機に、日本における微生物を用いた室内実験と理論研究の協働がさらに進展することを期待したい。
[W29-1]
進化的救助に対する環境ストレス要因と初期個体群サイズの効果:理論と実験
The effects of environmental stressors and initial population size on evolutionary rescue: Theory and experiments
[W29-2]
塩分ストレス下における淡水性プランクトンの捕食者ー被食者動態
Predator-prey dynamics of the freshwater planktons under salinity stress
[W29-3]
合成細菌群集から探る種間相互作用の性質
Insights into interspecies interactions from synthetic bacterial communities
[W29-4]
被食ー捕食相互作用により創出されるシアノバクテリア形態の多様性
Morphological diversity formed through prey-predator interactions in cyanobacteria