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自由集会 W02

外来植物の侵入実態と生態系に及ぼす影響 〜外来植物対策をめぐる課題〜

企画者:村中孝司(東京大学) 川田清和(農業環境技術研究所)

江戸時代末期以降,膨大な質・量の物資が海外から日本国内に持ち込まれ,それと同時に国外からの外来植物の種数も増加した.意図的に導入された外来植物は観賞,食,牧草・緑肥,緑化など多岐の用途にわたっているが,その内容は時代によって異なる.さらに,特に戦後,非意図的に移入された外来雑草の種数も増加した.そのため,現在では2,000種にも及ぶ外来維管束植物が国内に野生化しており,近年では,それらが蔓延して在来生物や生態系に悪影響を及ぼしていることが報告されるようになった.2005年6月には外来生物の被害を防止するための外来生物法が施行され,現在まで合計12種の外来植物が「特定外来生物」に指定されており,侵略的外来生物の輸入の規制や防除等がすすめられつつある.しかし,現在でもなお,緑化,観賞用等として利用される一方で,逸出・野生化して生態系に多大な被害をもたらし,防除が必要なまでになっている場合もある.さらに,輸入物資等に混入して持ち込まれた雑草の蔓延による被害も大きい.

自由集会では,まず「外来植物」の渡来(確認)年代による外来種の範囲や侵入経路について整理し,さまざまな用途として持ち込まれた外来植物の利用および逸出・野生化における実態,非意図的に移入された外来雑草の侵入の状況および生態系に及ぼす影響について議論し,有効な防除策等を含めた今後の展望についても検討したい.

趣旨説明:村中孝司(東京大学)

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