| 要旨トップ | ESJ54 自由集会等一覧 | 日本生態学会全国大会 ESJ54 講演要旨


自由集会 W10

第二弾:陸域生態系におけるリン制限仮説と生物の適応

企画者:和穎朗太 北山兼弘

炭素・窒素の循環に比べるとリンについては不明な点が多く、生態系機能とリンの関係についても、今まで注目されなかった背景がある。昨年の自由集会では、マレーシア、キナバル山の熱帯林生態系を例に、土壌風化に伴い全リンや可給性リンの量が減少する地球化学的メカニズムとリン欠乏に対する植物・微生物の適応についての研究事例を紹介した。

風化の進んだ熱帯土壌以外にも、吸着性の高い火山灰土壌などリンが強く欠乏する生態系が温帯にも存在する。今回の集会では、温帯におけるリン欠乏やその緩和に伴う外来植物の侵入についての研究事例なども取り上げ、自然のプロセスでリンが欠乏した時の植物適応の他に、人為によって土壌リンの量が増減した時の植物や分解者群集の応答を紹介し、陸上生物とリン欠乏について幅広く討論したい。生態系生態学では樹木や微生物が注目されがちだが、リン循環における動物の役割(大型土壌動物、鳥)についての研究も紹介する。

幅広いテーマを扱うが、異なる分野間の対話を妨げる専門用語をできるだけ使わず、生態系について学ぶ多くの方々にとって勉強になる集会を目指す。

日本生態学会