| 要旨トップ | ESJ54 自由集会等一覧 | 日本生態学会全国大会 ESJ54 講演要旨


自由集会 W27

パラサイト・パラダイス〜日本にやってくる侵入寄生生物〜

企画者:五箇公一(国立環境研) 今藤夏子(国立環境研)

体長1mmにも満たない微小なダニ等の無脊椎動物や菌類、細菌類、ウィルス等の寄生生物は、非意図的かつ恒常的に国内に持ち込まれていると考えられる。これら寄生生物は原産地においては長い共進化プロセスを経ているため、宿主生物に対する負の影響が顕在化することは少ない。しかし、これまでに人類自身がその歴史の中で経験してきた悪性の伝染病のように、本来の宿主から新しい宿主に乗り換えるホストスィッチが起こると、寄生生物は新たな宿主に対して重大な被害を与える恐れがある。

 これまで我が国においては感染症予防法や家畜伝染病予防法、植物防疫法により外来寄生生物の侵入を阻止してきたが、これらの法律では、ヒト、家畜および農林作物に対して有害な寄生生物のみが規制対象であり、生態系影響は考慮されていない上に、爬虫類や昆虫類の寄生生物はほとんどが規制対象外となっている。さらに外来生物法では目視で種の識別が可能な外来生物種のみが規制対象となっており、事実上、外来生物に随伴して侵入してくる寄生生物の規制システムは無いに等しい。

 本集会では、輸入植物、輸入昆虫、輸入爬虫類等とともに日本に持ち込まれている寄生生物の実態と生態リスクについて、実証データを交えて紹介し、侵入寄生生物の対策を議論・検討する。

日本生態学会