熱帯植物特有の生活史戦略を通じた多様性の創出・維持
相互作用とその物質的基盤からのアプローチ
企画責任者:
中静透(総合地球環境学研究所)
百瀬邦泰(京都大学)
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趣旨
これまでに熱帯植物に特有の生活史戦略が数多く報告されてきた。生物間の相互作用はそれらに深く関わっている。しかもその相互作用は、1.豊富な日射により糖の余剰生産が多く生じる、2.季節性が欠如し、予測性の乏しい一年より長い時間スケールの環境変動が支配的である、3.湿地では高い生産力に分解が追いつかない場所が局所的に発生する、といった、熱帯林に特有の事情と深く結びついている。熱帯林の生物多様性は、これら熱帯林に特有の事情から説明できる可能性がある。このシンポジウムの特徴は、相互作用を物質の生産、貯蔵、分配、循環といった過程から基礎付けた上で、共存や多様化への貢献を評価しようとする点にある。そして、物質分配等に関する測定を主体とした研究や、相互作用に関する観察や操作実験を主体にした研究、さらに多様化を跡付ける系統解析、といった異なる手法による研究を結びつけるための視点を探ることをシンポジウムの目的とする。
海外の研究者も招くためシンポジウムでは英語を用いますが、質問は日本語も受け付けることにします。気軽に参加し、発言してください。
プログラム
第一部 防衛
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オオバギ属における被食防衛戦略の多様性
○畑田彩(京大・生態研),野村昌弘(科学技術振興事業団),市岡孝朗(名大院・生命農),中静透(総合地球環境学研究所)
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オオバギ属-シリアゲアリ共生系における種特異性の維持機構
○村瀬香(名大院・生命農),市野隆雄(信州大・理),市岡孝朗
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Shorea属の防衛戦略を通じた多様性創出・維持機構
○野村昌弘,市岡孝朗,市栄智明(北大・生物圏FSC),中静透
第二部 繁殖
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フタバガキ科巨大高木の繁殖に対する資源投資
○市栄智明・小池孝良 (北大・生物圏FSC),二宮生夫(愛媛大・農)
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種子捕食と植物の繁殖フェノロジー
○中川弥智子(京大・生態研),箕口秀夫(新潟大・農),市岡孝朗,中静透
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重要な送粉者であるオオミツバチの個体数変動と植物の繁殖フェノロジー
○H.カリアン(サラワク森林研究所),酒井章子(京大院・人環),市岡孝朗
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熱帯高木は近親交配が嫌い−近交弱勢発現の経時パターンと二親性近交弱勢の検討− ○田中健太(北大・生物圏FSC),井鷺裕司(広島大・総合科学),中川弥智子,中静透
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絶対送粉共生の起源と共種分化
○川北篤・加藤真(京大院・人環)
第三部 ハビタット創出
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泥炭湿地林の物質循環の不均一性に起因するエレベーションダイナミクスと多種共存 ○嶋村鉄也・百瀬邦泰(京大院・アジア・アフリカ)
総合討論(司会:百瀬邦泰)
- コメンテーター:H.S.リー(サラワク森林局、京大・東南ア研)
ほか
- 総括 中静透