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大型野生動物の保全と管理−頑健性の高い調査研究と対策を目指して−

企画者:室山泰之(兵庫県立大学/兵庫県森林動物研究センター)

概要:

野生動物の保全や管理においては、さまざまな時間スケールや空間スケールの調査研究や行政施策が求められる。とくにヒグマ、ツキノワグマ、シカ、イノシシなどの大型野生動物では、食物資源量や気候変動などさまざまな要因が複雑に個体群動態や分布の変化に影響するため、必要な情報を収集し続ける調査研究体制が不可欠である。一方、人身被害や農林業被害、生態系被害などについては、その時点で明らかになっている科学的知見にもとづき、最適と考えられる行政施策を確実に実施しなければならない。野生動物の保全と管理を適切に推進するには、このような調査研究と行政施策をうまく連携させながらバランスよく遂行することが重要であり、そのためには、地域固有のさまざまな課題に対応しながら、継続して調査研究を実施し行政施策に反映するための「頑健性」が求められる。

今回の集会では、絶滅が危惧されている一方で集落への出没や人身事故が問題となっているクマ類と、個体数増加による農林業被害や植生破壊が問題となっているシカについて、異なる管理手法を展開してきた北海道と兵庫県の事例を示し、大型野生動物の保全と管理における「頑健性」の重要性について議論する。