概要:
大気中のCO2濃度の増加や気候温暖化が生態系に与える影響を解明するには,土壌から樹冠までを含めた総合的な操作実験の必要性が明らかになり,大規模な野外操作実験(FACE,Free air CO2 enrichment)が1990年代半ばから世界各国で継続的に行われている。日本においても,盛岡市に隣接する雫石町で水田環境におけるFACE実験が行われ,多くの成果が得られている。その結果,大気中の CO2濃度の上昇は,光合成の初期過程だけではなく,生物個体や群集構造,生態系機能へ大きな影響を与える可能性が明らかになった。本シンポジウムでは高CO2濃度の長期的処理が,光合成や生産性などの植物の生理特性に与える影響と,群集や生態系の構造と機能へ与える影響の二つの側面から総合的な議論を行い,地球環境変化に対する植物群種の反応がどこまで解明され,今後何をするべきかを議論する(英語にて行う)。