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水田をめぐる群集生態学最前線−ミクロからマクロまで

企画者:日鷹一雅(愛媛大・農)、大塚泰介(琵琶湖博物館)

概要:

生物多様性の観念は今や農村現場に流布するようになり,各地で水田地帯の生物多様性を保全・再生しようとする取り組みがなされるようになってきた。だが,こうした保全・再生事業をよく見てみると,農村にトキ、コウノトリ、メダカ、タガメなどのアイコン生物が戻れば良しとするような,生物多様性偽装とでも言うべき事例が少なくない。このような保全・再生事業の貧困は,私たち生態学に関わるものが,生物多様性を理解する上で最も重要な基礎であるはずの(人為を含む)環境諸要因と生物群集との関係,および群集を構成する生物どうしの関係について,未だ総合的な知見を提供しえていないことにも一因がある。水田地帯の保全・再生をより良く進めていくために,水田地帯の生物群集について事例および理論の両面から広範に研究を進め,さらにその成果を総合化して事業に生かしていくことが求められている。

本シンポジウムでは、水田地帯のミクロ(微生物)からマクロ(動植物)までの生物群について群集解析を進めてきた先駆者を集めて、水田地帯の群集生態学の現状を総括し,今後の研究の発展を占うとともに,これからの保全・再生事業への寄与を展望する。