| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PA2-600
茨城県宍塚大池におけるウシガエルの食性
*竹田千尋(筑波大・生物資源),門脇正史(筑波大・生命環境)
ウシガエル Rana catesbeiana は世界中に移入されており、その捕食性の高さから移入先での絶滅危惧種を含む在来生物の捕食、競争による在来カエル類の圧迫など生態系に関わる被害が報告されている。本種は日本にも定着しておりその被害が懸念されているが、日本における食性の研究は少ない。
茨城県宍塚大池は生物多様性に富んだ里山を周辺環境に備えているが、一方でウシガエルをはじめとする多種の外来種が大池に定着している。大池の在来動物保全のためにも本種の食性調査が必要である。
そこで本研究では大池において2008年の4〜10月の日中にウシガエルを捕獲、胃内容物を強制嘔吐させ食性を調べた。捕獲には釣竿、ルアー、たも網を用いて行い、成体124匹と幼体1匹を捕獲した。胃内容物のうち動物は目レベルまで同定し、すべての内容物を分類ごとに出現頻度、個体数、体積で評価した。
個体数の割合が最も多かったのは昆虫で58.7%だったが、1個体あたりの体サイズが大きいエビ目(アメリカザリガニ)の方が体積での占有率が高く、体積の49.8%を占め昆虫の21.7%を上回った。昆虫には9目が含まれておりそのうちコウチュウ目、カメムシ目、チョウ目が主要なエサであった。また昆虫以外の節足動物ではクモが多く含まれていた。内容物の構成は季節によって違いがみられた。
陸生動物と水生動物とで比較すると出現頻度・個体数では陸生の方が多いが、体積で占める割合は水生の方がかなり高かった。ただし、捕獲月によって占める割合は変わった。
本種移入先において、同所的に生息する在来カエル類が重要なエサになっているという報告が日本国外で多くなされているが、本研究ではほとんどみられなかった。