| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PA2-622
北米原産のオオハンゴンソウ(Rudbeckia laciniata L.)は草丈が2m以上にも及ぶキク科多年生草本である。その特徴的な頭状花は園芸種として世界中で好まれ,日本にも明治中期以降に導入された。しかし日本では昭和30年代以降,北海道,本州北部を中心に雑草化が進行し,日光,箱根など国立公園域にまで蔓延が及んでいる。そのため,在来生態系や生物への影響が危惧され,「外来生物法」においても,オオハンゴンソウは特定外来生物の1種に指定された。この法制化によって,蔓延防止に関する具体的な施策が講じられ,現在も行政やボランティアによる防除が行われている。しかし,オオハンゴンソウなど既に広い範囲に拡大した外来雑草の防除を講じる上で,全ての地域,個体について,同時に効果的な処理を行うことは,物理的にも経済的にも難しい。そのため効果的な対策を実施しつつも,防除対象には優先順位を決める必要がある。そこで本研究では,既存個体群の種子散布よりも新規侵入立地での種子散布が,分布拡大への貢献が大きいとの考え方から,新規に種子繁殖が可能になるサイズと侵入環境との関係を解析し,分布拡大リスク評価及び防除対象の優先性評価の一助とすることを目的とした。調査は栃木県下でオオハンゴンソウの侵入が著しい日光地域と那須地域で行った。各地域の造林地林縁,耕作放棄地,路傍空き地などに侵入したオオハンゴンソウ個体群について,花数,地上部構造(茎高,茎数,乾物重など),地下部構造(休眠芽数,節数,乾物重など)を計測した。その結果,(1)造林地林縁では個体群密度に関わらず個体サイズは小さく花数が少ない,(2)耕作放棄地では地下部サイズが大きく花数が多い。また地下部の成長や繁殖開始が早い,などが示唆された。