| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA2-632

撮影記録1995-2008から見た野尻湖魚類の変遷

*北野聡, 樋口澄男(長野環保研), 近藤洋一(野尻湖博), 山川篤行, 酒井昌幸, 酒井今朝重, 深瀬英夫(野尻水草研)

長野県北部に位置する野尻湖(面積4.56km 2,平均水深20.8m)はブラックバス・ブルーギル類の侵入,増殖,魚種の置換等が最近20年ほどの間に急速に進んだ水域として知られるが,具体的な変遷プロセスについては明らかではない.一方,野尻湖では1978年のソウギョ導入によって壊滅した水草帯を復元する活動が1995年から継続されており,水深4〜7mの実験区におけるモニタリング映像が定期的に記録されてきた.そこで,これらの調査で記録された画像をもとに,おもに夏季沿岸域におけるオオクチバス,コクチバス,ブルーギルの個体数動向を推定した.全長10cm未満のサイズクラスについてみると1991年頃に初侵入したコクチバスは90年代中盤に優占したが,2000年代初頭にはブルーギルが爆発的に増加して最優占種となった.全長25cmを超えるサイズクラスのオオクチバスとコクチバスの個体数比については2000年代はじめ頃にいったんコクチバスに偏ったがその後オオクチバスが持ち直し均衡を保ったようにみえた.湖内の上位捕食者となる外来魚類群集は,小動物や水草等,野尻湖の生態系復元とも密接な関わりを持つことから,今後においても注目する必要がある.


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