| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PB1-233
生物にとって体サイズは最も重要な形質の1つである。様々な環境要因が体サイズの決定に関わっている。しかしながら、多くの研究は温度や季節の長さといった環境要因と体サイズの関係に注目し、その他の要因については見過ごしてきた。ある寄主の体内で発育が完了する昆虫の場合、体サイズはその寄主のサイズから空間的な制約を受けることが考えられる。そのような場合には、寄主サイズの変異は、その寄主を利用する昆虫の体サイズに変異をもたらすだろう。本研究では種子食性昆虫であるイタチハギマメゾウムシの体サイズとその寄主であるイタチハギの種子重量の集団間・集団内変異を調べることにより、体サイズを決定する上での寄主サイズの重要性を明らかにした。
2006年と2007年に香川県の楠見池と飯野山の2つの集団からイタチハギの種子を採集した。2007年の採集では集団内の変異を調べるために、木毎に区別して採集した。採集した種子の重量と羽化してきた成虫の体サイズを測り、両者の関係を調べた。その結果、2006年では種子の重量と体サイズともに集団間変異が、2007年では集団間変異に加えて集団内変異が検出された。重い種子重量を持つ集団や木からは大きな体サイズ持つ個体が現れた。また種子重量には年変動が存在しており、それに同調して体サイズも変動した。以上の結果からイタチハギの種子重量はイタチハギマメゾウムシの体サイズを決定する重要な要因であること、また種子重量と体サイズともに可塑的であることが明らかになった。