| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PB1-269
国内に存在するため池は20万箇所を越えるといわれるが、近年は圃場整備やダムの建設に伴って減少傾向にある。また、その減少傾向は小規模なものほど強いことが報告されている。一方これまで多くの研究において、同面積であれば、単一あるいは少数の大生息地にくらべ複数の小生息地で多くの種が生息する例が報告されている。そこで本研究では、魚類を対象とし、ため池の規模や孤立状況が多様性に及ぼす影響について考察した。
調査は岩手県南部の平野部に点在する49のため池において実施した。調査の結果、種数と規模の間に有意な相関は認められず、幹線水路までの距離や流入水路の規模と有意な正の相関が認められた。幹線水路までの距離や流入水路の規模は、魚類にとっての、周辺水域からため池への移入率にかかわる要因であると考えられる。また、湖沼においては、summer killやwinter killといった強い撹乱の存在が知られている。以上から、ため池内の魚類群集に関しては、その規模に比べ周辺水域との接続状況が重要な影響を持つと考えられる。