| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PB2-649
植物個体群の長期的な持続性や遺伝的多様性の維持のためには健全な有性繁殖が重要な役割を果たす。クローン植物は有性生殖とともにクローン成長を行い、光などの資源やポリネーターの利用性を介して相互に影響しあいながら、多様な空間パターンを示すクローン構造が形成される。
動物媒花のクローン植物では、近隣の花を連続訪花するポリネーターの性質に依存し、近隣ラメット同士での送受粉が起きやすく、自家不和合性クローン植物では隣家受粉をもたらしがちである。一方でクローン構造は和合なラメット空間的な位置関係を決める。
しかしながら、これまでの自然個体群における空間構造が種子生産に与える影響の研究はパッチベース(パッチ密度、最近接のパッチまでの距離、パッチサイズ)ものに限られ、クローン植物の個体群内のラメットの遺伝的な分布の詳細な把握に基づき種子生産の空間的不均一性を分析した研究はない。
サクラソウは異型花柱性植物で、花の形質に高い遺伝的多様性を持つため、目視で比較的容易にジェネットを識別できる特徴を持つ。本研究では北海道日高地方のサクラソウ自然個体群6個体群についてすべての開花ラメットの遺伝的分布を把握した自生地において、和合ジェネットのクローンの大きさや局所的な空間分布が種子生産に及ぼす影響とその影響の及ぶ空間スケールを把握した。