| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PB2-660

インド・ミゾラム州に分布するタケ(Melocanna baccifera)の一斉開花・更新時を対象とした分子生態学的解析

*陶山佳久(東北大・農),齋藤智之( 森林総研木曽),西脇亜也(宮崎大・農),蒔田明史(秋田県立大・生資),柴田昌三(京大・フィールド研)

タケ類は長寿命・一回繁殖型の特性をもつことが知られており、自然条件下でしばしば一斉開花が観察される。その開花・更新時の典型は、同一コホート由来の優占個体群が長期にわたるクローナル成長の末にダイナミックに更新する機会と考えられるため、繁殖生態学的に興味深い調査対象の一つである。インド・ミゾラム州には、48年周期で大面積一斉開花が記録されているタケが分布しており、2006年末から2007年には、予測されていた周期通りに一斉開花が観察された。演者らはこの開花現象を、クローナル植物個体群における有性生殖時の実態を把握する好機と考え、1)親稈のジェネット識別、2)種子・実生の親子解析による花粉・種子散布パターンと繁殖成功の解析、3)親・種子・実生・生残実生ステージ間の遺伝的多様性比較などを進めている。これらの調査により、特に栄養繁殖によるジェネット分布の空間的構造の構築と、有性生殖時の繁殖成功の関係について明らかにすることを目的としている。

一斉開花した地域の竹林内に、開花前年に20×20m調査区を設定し、調査区内のすべての親稈(1183稈)からDNA分析用試料を採取した。開花結実後には、調査区中心部4×4mの範囲内で生産された種子(339個)、種子散布後には調査区内に出現した全当年生実生(3739稈)から試料を採取した。実生の生残過程は継続して調査を実施している。これらの解析により、調査区内で複数の親ジェネットが混在して同調開花し、旺盛な遺伝子交換が行われて次世代が更新したことなどが明らかになった。


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