| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
一般講演(ポスター発表) PB2-664
我々は、北方林樹木の花成の制御機構を明らかにするため、北海道立林業試験場構内に生育する北方林主要構成樹種カラマツ属グイマツ(Larix gmelinii var. japonica)を用いて、シロイヌナズナの花芽形成遺伝子LEAFYと相同なLgLFY遺伝子を単離し、LgLFYの発現と花成との関係を調べてきた。これまでに、LgLFYの発現は翌年に花となる芽で高く、花芽が形成されると考えられる5月から増加し9月に減少することがわかった。LgLFYの発現時期がシロイヌナズナ花器官形成遺伝子AGAMOUSのグイマツ相同遺伝子の発現時期より前であることから、LgLFYがグイマツの花成決定に関与すると考えられた。そこで、2004年から2007年までの毎月下旬に採取した3種のクローン(V544、樺岡455、樺岡484)におけるLgLFYの発現量と翌年の開花数との関係を調べた。V544では5月、樺岡455では6月、樺岡484では5月と6月のLgLFY発現量と開花数とにR2が0.5以上の高い相関関係がみとめられた。以上の結果から、グイマツの開花数の決定に5月下旬から6月下旬のLgLFY発現量が関与することが明らかとなった。