| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PC2-806

沈水植物群落は水質を改善するのか?―水草と魚と動植物プランクトンの相互作用の解明に向けて―

*鈴木寛之,巌靖子(滋賀県立大),辻村茂男(滋賀県琵琶湖環境科学研究センター),浜端悦治(滋賀県立大)

湖沼の沿岸帯植物は、水質改善機能を持っている。そこでヨシやマコモ、ホテイアオイなどが水質改善に利用されてきた。しかし沈水植物については、ほとんど利用されていない。Scheffer(1998)は、沈水植物を水質改善のうえで最も重要なグループと考え、国内では、琵琶湖南湖での水質改善に、沈水植物群落の回復が大きな役割を果たしてきたと考えられている(Hamabata et al. 2002)。これらのことから、沈水植物による水質改善は、十分に考慮されなければならない。ところが沈水植物による水質改善のメカニズムは、未だ完全に解明されたとはいえない。

Nakamura et al.(2007)は、大型実験池で沈水植物の水質改善機構を明らかにする実験を行ったが、それは魚を除いた条件下で行われた。そこで本研究では、沈水植物が持つ水質改善機構をより明らかにするために、魚を含めた条件下で実験を行い、水質の変化等を調査した。

実験は、琵琶湖・淀川水質浄化共同実験センター内の屋外人工水路(長さ24 m, 幅2 m, 深さ0.9 m)を用いて、7/6から9/5の2ヶ月間行った。水路に水草の有・無とそれぞれについて魚の有・無という4種類の隔離水界(縦・横1 m, 深さ0.8 m)を2つの繰り返しで計8個設けた。水草はコカナダモを、魚はキンギョを用いた。キンギョは水草群落高が50 cmを超えた実験開始一ヶ月後に投入した。そして、クロロフィル-a, T-N, T-Pの各濃度の分析と水温等の環境要因の測定、動物プランクトン組成や、沈水植物の成長を調べた。

その結果、水草無魚有と水草有魚無とで各水質項目に明らかな違いが見られた。そこで各水質項目、動物プランクトン組成、PVI、魚等の相互関係について考察する。


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